走り、食、パノラマ、そして仲間と語らう珠玉のひととき
SKRO!の魅力
昨年度、国内では珍しいライドアウト型イベントが開催された。この記念すべき第1回目の「スクーターライドアウト2010@伊勢志摩(以下、SKRO!)」を取材しているので、今年度の参加を検討中という方々の参考にしてもらいたいということからBuonoでも掲載することとした。
なによりダイナミックな景観と絶品の海の幸を存分に堪能できる伊勢志摩エリアなので、より多くの参加者たちに目と舌とで味わい尽くしてもらいたいのである!
日程:2010年11月20日(土)〜11月21日(日)
場所:三重県志摩市
主催:スクーターライドアウト実行委員会
協賛:BGM/SCOOTER CENTER GmBh(ドイツ・スクーターセンター)ほか
協力:志摩市/志摩市観光協会/国内各クラシックスクーターショップ・クラブほか
主旨とキーワードに共感
昨年が初開催だった「スクーターライドアウト2010@伊勢志摩(以下、SKRO!)」を語るうえで、もっとも特徴を表すキーワードが"ライドアウト型イベント"だといえる。
スクーターによるイベントのスタイルとして世界的にも確立されている"ラリー"と"ライドアウト"だが、"ラリー"は集まることが目的であり"ライドアウト"は走ることを楽しむイベントだと認識してもらって構わないだろう。
つまりイベントタイトルにも"ライドアウト"とあるように、SKRO!は走りをメインとしているのだ。
……とはいえ目をつり上げて攻めの走りでワインディングを駆け抜けるという類のものではなく、速く走るのもゆっくり走るのも、すべてマイペースで楽しむというのを基本としている。
それにスクーター好き同士が集まり、走り、食べ、飲み、話し、楽しむ……という趣旨だけに、2日間を共にした参加者同士がうち解け合うことも十分に可能だ。
こうして共通の趣味や楽しみをもつ仲間を増やしていくことで、別のイベントでバッタリ再会といった楽しみやサプライズも起きるだろうし、きっとスクーターライフそのものが充実していくに違いない。
楽しむための準備は万全
さてここからは昨年の参加レポートをお届けしよう。
集合場所に指定された伊勢神宮の駐車場には、各地から愛車を積んだトランポが集結。
もちろん自走の参加車両もつぎつぎとやって来る。
SKRO!がスタートするまでの間、それぞれが準備やお伊勢参りをして上手に時間を使っている。
調子が悪い愛車のセッティングをしている者までいるが、すぐに誰かが口をだし、手を貸したりしている。
そうこうしていると、ほぼ定刻通りに移動を開始。
まずは「道の駅・伊勢志摩」まで、木漏れ日の中を気持ちよく走る。
さすがに50名にもおよぶ参加者数ともなれば、信号で車列も途切れてしまう。
だけど曲がり角には誰かが止まり誘導してくれているから、まったく不安なく走り続けられる。
ボクは途切れた後続側を走っていたが、なんの問題もなく集合地点である「道の駅・伊勢志摩」に到達できた。
しばし談笑を含む休憩の後、今夜の宿泊地である「賢島の弁天荘」を目指して再スタート。
今度は市街地を含むルートなので車列もかなり途切れてしまったが、それでも先ほどまでと同様、誘導に従うことで無事に全員が「賢島の弁天荘」まで辿り着くことができた。
しかし予定より少し遅れていたことから、午後は自由行動にすると主催者から発表があった。
あくまでイレギュラーな初日午後の突発的自由時間ではあるが、各々が少数のグループを作り出かける段取
りを始めている。
そのまま宿にチェックインして酒盛り(?)という話題も聞こえてくるが、ボクはその魅力的なお誘いを丁重にお断りしつつ焼きガキを食べに行くグループへと加わることにした。
連帯感を感じるSKRO!
このとき改めて感じたのがスクーターイベント……とくに旧車系のスクータリストたちというのは、イベントの枠の中での楽しみかたを良く知っているなと思えるところ。
同時に参加者ではあってもけっして"お客さん"という意識ではなく、全員で楽しもうという連帯感のような"繋がり"を大事にしているということだ。
曲がり角や分岐がわからなくなったりしないように誰かが誘導してくれたり、突然の自由時間となっても声を掛け合い連れだってショートランを楽しむなど、これらの行為はどれも自発的に行われているのだから参加者の意識が高いとうかがい知れる。
以下はボクの想像だ。
旧車系スクータリストの集まるイベントでは、お歳を召された大先輩から免許取り立ての若いスクータリストまで参加しているのをよく見かける。
それが良い方に作用しているのだろう。
大先輩たちの気配りや気遣いを肌で感じることで若いスクータリストたちがそれを自然に受け継いでいると思えるし、逆に若手が楽しいと思うことを大先輩たちも理解しているようにみえる。
さて、そんなわけで"TEAM焼きガキ"と行動を共にしたボクだが、ときおり海岸線を望みながら緩急の効いたワインディングがじつに爽快で楽しい。
それに伊勢志摩ならではのロケーションを存分に味わえるルートだったので、そのパノラミックな景観に圧倒されてしまうほど。
ただ、それにもまして驚かされたのがチューニングランブレッタのポテンシャルの高さだ。
じつは調子の良いランブレッタの走りを間近で見るのは初めてだったのだが、このとき乗っていたスカラベオ400ieでも気を抜けば置いて行かれてしまうほどの速さである。
しかも耐久性も高そうで、不安なく走れるチューニングレベルの高さに二度驚かされた。
ランブレッタ恐るべしだ。
たらふく食べて
伊勢志摩を堪能
ワインディングとロケーションを堪能した後は、いよいよお目当ての焼きガキだ。
牡蠣のほかにもいろいろ選べたので、ボクはサザエもオーダーしてしまった。
牡蠣とサザエはその場で焼かれ、その新鮮さから本当に美味。
このグループの中には生牡蠣をオーダーしている人もいて、それを見たとき「あぁやられた!」なんて思ったりもした。
宿に戻るとほどなく夕食の宴が始まり、ふんだんな海の幸、そして酒、たまらなく気分は上々だ。
途中でジャンケン大会(Buonoからもレインウェアを提供させていただいた)もあり、皆の笑顔で幕を閉じた。
この午後の自由行動から宴会までの流れはじつに気分爽快で、目も、気持ちも、もちろんお腹も満足のいくものだった。
同時に「乗って動いて楽しもうというイベントなので、1日中楽しみた
いからこそ宿をとったという流れです。正直場所ありきではなく、走りありきで場所があったという感じなのですが、僕ら的にアクセスもよく、ロケーションの 素晴らしさと走り応えのあるワインディングが共存しているところから伊勢志摩がいいだろうということになりました」という主催者への事前インタビューの内 容が実感できるものだった。
走るイベントへのニーズ
ここでちょっと主催者の意図するSKRO!について触れておくことにしよう。
そもそもSKRO!とは、熱狂的なランブレッタ乗りである北川さんと磯谷さんというお二人の情熱が生みだしたイベントである。
「ごく個人的な、何人かで走るツーリングの延長線上にあって、走って知らないところへ行って楽しむ。ただそれだけのシンプルなイベントがあってもいいかなと思って……」とは磯谷さん。
そして北川さんも「僕らも楽しみた
いというのが一番ですね。走って楽しかったというツーリング独自の爽快感とか、走ることの疲労感とか、そういったものを 味わえるイベントにしたかったというのが本音です」と考え、さまざまなタイプのスクーター、そしてスクータリストの参加を望んでいるそうだ。
ところがモダンAT(現行タイプのスクーター)にも参加してもらいたいという主催者の気持ちとは逆に、ボクが乗るアプリリア・スカラベオ400ie以外はクラシックスクーターばかりという状況。
これは主催者がランブレッタフリークだということが先行してしまったせいもあるだろう。
しかし世界からはこのクラシックスクーターばかりのイベントに対し、「日本でも走るイベントへのニーズがあるのか!?」と注目を集める。
じっさい走ることに重きを置いたイベントであるにもかかわらず、クラシックスクーターが大挙して参加しているところがじつに興味深い。
走りたいというスクーターオーナー、そして走れるコンディションを維持したクラシックスクーターが多数存在しているということにほかならないからだ。
心底お勧めしたいイベント
SKRO!
いよいよ2日目。
SKRO!最終日は気持ちいい晴天の中、まずは連なって走る。
これも楽しいが、集合場所が決められているので速く走りたい連中がグングンとスピードをあげ見えなくなった。
あらかじめ決められていた集合場所で合流後、主催者から挨拶がありイベントも終了した。
走ることを楽しむのと同時にダイナミックなロケーションを目に焼きつけ、新鮮な海の幸に舌鼓を打ち、夜
の宴はほろ酔い気分で楽しかった1日を語り合う。
こんな贅沢なツーリングイベントはじつに久しぶりで、心底楽しい2日間だった。
主催のお二人も「自分たちの楽しみのためにやってみたら仲間が増えたみたいなところがあり、今回だけでも普段話さない人とだいぶ顔見知りになれたことが嬉しい」と、まずまずの感触をもってイベントを終えることができたようす。
第2回開催はもうすぐそこ。
参加を考えているなら迷うことはない。
ぜひいっしょに走りと食を楽しみ、大いに語らいましょう!
焼きガキツアーの帰り道、陽の暮れ際の絶景に出会う。原風景さながらの美しさに夢中でシャッターを切った。「日本国内に素晴らしいと感じられるエリアは数多くあるけれど、一度スクーターで存分に走ってみたいと思っていたエリアの一つに伊勢志摩が、いつもどこか頭の片隅にあった。入り組んだ無数の入り江と、山深く、緑溢れる稜線とが織りなすダイナミックな景観を堪能出来る伊勢志摩というエリアの素晴らしさを、ぜひ多くのスクーター好きに味わってもらいたいとも思っていた」……これは初開催時にBuonoでSKRO!を紹介する際に用いた文言。Buonoではこれからも変わらず伊勢志摩推しだ。