VESPA RING 〜The 3rd Step〜

 

過去の活動を遥かにしのぐ

大規模プロジェクト

 

今回のベスパリングは「ローマの休日」のとあるシーンから思いついたというアイディアにより内容が決定。さてその計画とはいったいどんなものなのか……

 

次回ベスパリングの日程が決定したとの連絡を受けた。第3弾となる今回の活動は仙台中心部から1時間ほど離れた七ヶ浜沿岸部にある、仮設住宅の密集地域における大規模支援活動だ。そして期日は今週末の8月18日(土)とのこと。

ここで気づいた方がいるかもしれない。Buonoでも記事化してきた震災直後からの経緯では、これまでに昨年の4月の石巻、6月の福島といった過去2回の活動を実現している。そう、それからしばらく活動はなく、およそ1年2ヶ月ぶりの活動となるのだ。

じつはこれには理由がある。その最たるものは、「支援を受け入れて貰えない」という現実だった。ベスパクラブ宮城(以下VCM)では、「子供たちの笑顔のために」という活動理念のもとプロジェクトを始動。これは被災地の子どもたちにお菓子とおもちゃを届けるというものだった。

それが昨夏あたりから各地の仮設住宅に支援物資も行き渡り、VCM側からの支援申し入れに対して「お菓子もおもちゃもすでに充分過ぎる量が届いており、お気持ちはありがたいですがご支援は結構です」との回答がこれまでに何度も何度もあったのだという。

こうなるとVCMとしては、活動できないジレンマから「正直もう今後の活動をやめよう」という意見もあったそうだ。日本国内はもとより世界中のスクータリストから寄せられる支援や声援をも受けていた彼らにとって、何もできないこの期間がいかに辛いものであっただろうか……。

そんな中、とある県会議員からの紹介で七ヶ浜の仮設住宅一帯を管理するNPO法人の事務局とコンタクトを取れることになった。今年4月のことで、当初はほかと同様「お気持ちは大変ありがたいですが、ご支援は結構です」といった内容だった。

しかしいっぽうでVCMのホームページも閲覧したうえでの意見として、「これまでの"一方的に支援を受けるだけ"という状況から、少しずつ前進していく時期に差しかかってきていると感じており、今後は"住民参加型"や"住民の自主性の後押し"ということがとても重要になると思います。皆さまの普段のご活動と絡めてのご支援のカタチこそ、子供たちも喜ぶのではないでしょうか。ぜひほかにはない、ベスパクラブの皆さんらしいアイデアを考えていただけませんか?」といったメールが届けられた。
(編集部注:メール文面については内容を要約)

このメールを受けたVCM副代表・相澤さんは非常に悩んだそうだ。このベスパと関連した支援要請に、解けない宿題を与えられた小学生の気分だったという。そしてアイディアがまったく浮かばないまま数ヶ月が過ぎたころ、大好きな映画「ローマの休日」を見ていたときに閃く。

髪を切ったアン王女が一時の自由を満喫しつつスペイン広場でジェラートを食べるシーンから思いついたというその内容は、真夏の仮設住宅で過ごす子供たちの元にイタリアのスクーター"ベスパ"に乗ったVCMが冷たくておいしい"イタリアンジェラート"を届ける、というものだった。

併せて、遊園地の乗り物を楽しむ感覚で子供たちをベスパに乗せ、ローマの休日のグレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンのようにタンデムでゆっくりと走るベスパ試乗会もおこなうというもの。

この2つのアイデアを事務局側に伝えると「それは最高のアイデアです! ぜひご支援お願いします!!」との返事があり、ようやくVCMの活動再開が決まったのだ。

ここで今回の活動計画の詳細をお伝えしておこう。七ヶ浜の集会所近辺には大きく分けて4つの仮設住宅があり、全戸合せると330軒、計893名の方々が生活(内、子どもは100名弱)している。なのでVCMとしては当初の活動理念に沿って子どもたちを最優先にしつつ、上記893名すべての方々を対象に支援活動をおこなう。当日はジェラート配布とともにメンバーが所有するかき氷マシンまで持ち込み、真夏の仮設住宅で過ごす皆さんにひと時の涼しさをプレゼントする計画だ。加えて恒例のジャンケン大会、前述のベスパ試乗会も開催予定。

……これが「VESPA RING 〜The 3rd Step〜」となるが、過去2回の活動を遥かにしのぐ大規模なプロジェクトとなるため「メンバーの力を結集し、また、他の友人たちの協力も得て、何とか成功させたいと思っております」といったコメントを相澤さんよりいただいている。

また、ベスパリングはこの3rd Stepでファイナルとするということで、以下に相澤さんから思いをそのまま掲載させていただくこととする。

ベスパリングは次回3rd Stepでファイナルとさせて頂きます。これまで紆余曲折ありましたが、皆さんの温かいご声援とご支援に支えられ、この一年半、微力ではありますが被災地の子供たちの為に活動を続ける事が出来、本当に心から感謝しております。
隅本さんは憶えてらっしゃいますでしょうか・・・七ヶ浜という場所は、僕がベスパリングを始めるきっかけになった、親戚のお寺がある地です。七ヶ浜への支援がきっかけで始めた活動が、七ヶ浜でファイナルを迎える事は、甚だ個人的な意見ではありますが、非常に意義のある結末と感じています。
3rd Stepが無事終われば、僕らは気持ちの上でなんとなく、震災前と同じ様に純粋にベスパを楽しめるかな?・・・そんな風に思っております。
しかし一方で、ベスパリングを通じ子供たちからプレゼントされた純粋無垢な笑顔は、僕らにとって生涯心に残る勲章になるでしょう。
終わり良ければ全て良し。8月18日、真夏の青空にでっかい花火を打ち上げるつもりです。どうぞ、当日の晴天とイベントの成功をお祈りください。
サイトを通じ、応援して頂いた全国の皆様にもご一報頂ければありがたいです。
長文にて失礼致しましたが、今一度のご声援、よろしくお願い致します。

Vespa Club Miyagi
相澤直哉