ENGINE FLUSHING
リバティ150とはピアジオが生産するスクーターで、初期型のデビューは時期的にベスパET4シリーズと同じころ。
そしてパワーユニットにリーダー150を搭載しているなど、車体まわりで共用パーツも多かったりする。
まあ今回はエンジンフラッシングの話題なので、車体まわりの話はどうでもいいだろう。
総走行距離1万6000kmほどの"リーダー150エンジン"に対してフラッシングを施行。
作業は東京世田谷のベアせたがやにお願いした。
そもそもエンジンフラッシングとはエンジン内部を洗浄することで、カーボンやスラッジを落とすのに有効な手段とされている。
その効果についてはインプレッションのほうをご覧いただきたい。
しかしエンジンフラッシングについては否定的な意見も耳にする。
エンジンオイルには洗浄効果もあるので、推奨の交換サイクルを守っていれば改めてフラッシングする必要はないというもの。
またフラッシング専用オイルはサラサラであるため、成分や性能面で使いたくないというもの。
けっきょく正解の判断はエンジンを開けて確認する以外に方法はなく、そこまでは現実的になかなかできない。
しかも乗り方や使用環境でエンジン内部の状態は異なるはずなので、ドンピシャで「同ケースだからまったく同様の判断」とはいかないだろう。
なので経験者の判断に委ねるか、経験者の意見を元に自分で決めるということになるわけだ。
そういうわけで参考にしてもらえるよう、少し細かく紹介しておくことにする。
ボクのリバティは4000km程度走行した中古車として手に入れた。
前オーナーの乗り方やオイル交換サイクルは不明。
ボクが使うようになってからは取材の足として高速移動も多く、高速走行時はアクセル全開率が高い。
そのためこれまでのオイル交換サイクルは、3000km未満で早めに行うようにしてきた。
つぎにフラッシングのために使った製品だが、「WAKO'S ENGINE FLUSHING OIL/ワコーズ・フラッシング用エンジンオイル」を試してみることにした。
これはエンジンオイルに配合されている基本的な添加剤に加え、摩耗防止剤や清浄剤などを最も効果的に配合した高性能フラッシングオイルというもの。
つまりエンジンオイルと同じ成分で生成され、フラッシング性能が際立つようにチューニングされた専用オイルといえる。
効能として以下の特徴をもつ。
●優れた清浄分散性能により、オイル交換だけでは取り除くことができないエンジン内部のスラッジ・ワニスなどの酸化生成物を除去
●優れた摩耗防止性能により、エンジン内部に残った場合でも新油に影響を及ぼさない
●上記性能の相乗効果により、従来のフラッシングオイルとは異なり摩耗を抑え、エンジン内部をクリーンにし、オイル交換に際して新油の性能を発揮させることができる
作業は1度エンジンオイルを抜いてから「WAKO'S ENGINE FLUSHING OIL」に入れ替え、30~40分間エンジンを回してから新油に交換という内容で行った。
推奨は20~30分だが、スクーターのエンジンは小さくて内部を流れ回る時間が早まるため、それだけゴミがたまる分も多いのではないかとの判断からだ。
これについてベアせたがやでは「じっさいクラッチ側のカバーなんかを開けると、濃い茶色の固まりが点々とあって、それが若干多いように思います。スクーターの場合だと中にクラッチもギアもなく、本当にエンジンを回すだけとなるため、そういう場合の汚れ方は黒よりも茶色に近いモノがへばりつくことのほうが多いですよ」といった経験で得たデータをもつ。
そのため少し長めに回すことを決めたのだ。
またフラッシングについてベアせたがやでは、「考え方だと思うんですけど、エンジンオイルをバンバン交換しているからフラッシングは必要ないよという考えの人もいるじゃないですか。それで本当は十分なんですけど、それでも1万km、2万km、3万kmと蓄積されていくわけです。それをときどき落としてやるのはエンジンにとって良いことなんですよ」と考えている。
そして交換サイクルについて「たとえばスゴくいいオイルの交換サイクルを早くやっている方と、何も気にせず推奨サイクルを守っている方の場合、フラッシングの目安として、何もしない方は1万kmくらい、オイル管理をしている方なら2万~3万kmの間で1回……そういったようにフラッシングの時期を延ばすことができるというイメージです」ということだ。
加えて是非について「やるとやらないでは明らかに変わります。じっさいににエンジンを何基も割って内部を見てきているし、その結果これを導入しようと決めたわけですので効果は絶対に現れるはずです。ただしデメリットとして考えられるのは、極端なまでに酷使してこれまで何もせずにいた方の場合には、いきなりフラッシングすることで故障する恐れがあります。いままでちょっと詰まっていた部分でクリアランスが良かったモノが、そこを洗い流すことによって音が出たりするといったことも考えられますね。ただ、それこそ4万km、5万kmという長い距離をオイル交換だけで乗っていたとしたら、ちょっと怖いかなと思います」と、履歴しだいではお勧めできない場合もあるが、やった効果はかならずあるとのこと。
なお、できればということで「一旦フラッシングをした後、つぎのオイル交換は少し早めにしてあげるほうがいいです。要はフラッシングによって中の モノを柔らかくして落とし、それをオイルといっしょに排出するんですが、頑固な汚れがちょっとは残ります。でもこのフラッシングオイルは効能が残るので、
新油を入れても継続して内部を奇麗にしてくれます。なのでそれを早く排出するため、つぎのオイル交換サイクルをちょっと早めにしてあげたほうがさらにいい ですよということなんです」と、ベアせたがやでは推奨している。
それも厳密に言うと……というレベルなので、じっさいには通常と同じようにしてなんの問題もないとも。
さて、それではそろそろフラッシングのインプレッションを。
まず印象として、「回転ムラがなく軽やかに回る」である。
もともとボクのリバティは上までストレスなく回っていたので、正直なところ上昇感については差を感じづらいのだが、アイドリング状態からのツキは見違えるほど。
若干だが開け始めの押出感も強くなっているように感じられる。
結果としてエンジンへのダメージもなく、音が大きくなるなどの症状もない。
総じてフラッシングによるリフレッシュ効果を体感でき、エンジンのピックアップや回転フィールに好感触が得られたということになる。
「WAKO'S ENGINE FLUSHING OIL」によるフラッシングはお勧めだ。
それと最後に一つ付け加えておきたいのだが、フラッシング後に新しいエンジンオイルを入れる際、必ずオイルフィルターも交換してから注油するようにしたい。
これはメーカーが推奨していることなので忘れずに交換を!